なぜマネジメントが壁に突き当たるのか―成長するマネジャー12の心得 田坂広志(著)

なぜマネジメントが壁に突き当たるのか―成長するマネジャー12の心得
先日、使える弁証法を読んでから、すっかり田坂広志氏のファンになり、メールマガジンや著書を何冊か読んでいます。田坂氏の著書はとても読み易いのですが、書いてある内容がとても意味深く、1度読んだだけで簡単に理解できるものではありません。また、簡単なノウハウでもありません。何度読んでも毎回新しい気付きと深い洞察力に感銘を受けます。
田坂氏は言います。「我々マネージャーが、日々のマネジメントにおいて突き当たる壁は、その深い世界に気がつくことによって、乗り越えていくことができるのではないか。その深い世界とは、暗黙知の世界である」と。
その暗黙知の欠如によって生じているさまざまな問題を取り上げ、その心得を説いていきます。
■なぜ「成功者」を模倣することができないのか?
部下が優秀なマネージャのスタイルを真似しても決してうまくいきません。どんなに模倣してもです。
「自分の能力と構成にあったバランスを掴み取る」しかないのです。
マネージャは、「何を身につけるべきか」ではなく「何を行えば身につくか」をアドバイスすべきなのです。
そのためには「言語知では決して伝えられない暗黙知が存在する」ことを認識し、「深い暗黙知は体験を通じてしか伝えられない」という厳しい覚悟が必要です。
■なぜ「動かそう」とすると部下は動かないのか?
「気配り」のマネージャは必ずしも部下から信望を集め、顧客から好印象で迎えられているとは限りません。
それはなぜか?
そのマネージャの「気配り」の奥に、密やかな「計算」があるのです。
この計算が感じられれば、部下はマネージャが期待するようには動いてくれません。部下からは上司のこころの深くが見えているからです。
ただし、以下のような場合には、「部下が動く」と感じることがあります。
- 部下がまだ若く、人間を見る目が浅い
- 部下がマネージャの人事権や決裁権などの権力を意識する
- 部下も同様に計算している
この状況では、この集団が徐々に弱体していくことは明らかです。
ではどうすればよいかという問いに、著者の田坂氏は「己のエゴを見つめること」そして、無条件に部下に共感することだと述べています。この共感を「聞き届け」と言い、必ずしも部下の意見に「賛同」することを意味していません。「正対」つまり、部下という1人の人間と正面から向き合うということです。
書物を読んだり、人から聞いても決して学ぶことができない暗黙知をどう得ることができるのか。すべては体験から得るしかない。その心構えを書いたすばらしい本です。
現在、マネージャではない方でも十分に応用できます。
■他にも読んだ田坂氏の本の感想
知的プロフェッショナルへの戦略―知識社会で成功するビジネスマン11の心得
目次
なぜマネジメントには「沈黙は金」の瞬間があるのか?
なぜ「論理的」な人間が社内を説得できないのか?
なぜマネジメントにおける「直観力」が身につかないのか?
なぜ「原因究明」によって問題を解決できないのか?
なぜ「矛盾」を安易に解決してはならないのか?
なぜ「多数」が賛成する案が成功を保証しないのか?
なぜ成功するマネジメントは「完璧主義」に見えるのか?
なぜ「成功者」を模倣することができないのか?
なぜ「経験」だけでは仕事に熟達できないのか?
なぜ「ベスト・チーム」が必ずしも成功しないのか?〔ほか〕
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